〔鑑別〕
肋間神経痛と鑑別しなければならないのは内臓の疾病より起こる脊椎圧痛点である。内臓の疾病によるものは脊椎に圧痛点があっても腋窩線および胸骨線における圧痛点がなく、また脊椎氷結法では消散しないことがほとんどである。しかも内臓の疾病には皮膚に知覚過敏点を発見するだろう。そしてその部分を按触することで症状が増悪するものである。たとえば胃部に疼痛があるときにこれを圧すれば脊椎の圧痛点もまた増悪し、皮膚知覚過敏も著明となる。
内臓の疾病の場合、多くは脊椎の両側に圧痛点があり、肋間神経痛にはただ一側にのみあるものである。もし神経痛で両側に圧痛点のあるときは脊髄に病原のあるものを疑う。
肋間神経痛は脊椎の圧痛部を圧するときはその神経痛を喚起する。しかし内臓の疾病においては脊椎の圧痛部を圧するときはほかの症状を呈する。たとえば不整脈の場合は再発または増悪し、胃病の場合はガスの排出をみるといったようにその疾患を表徴するものである。