2016 脊髄反射的療法、現代語訳

Afina現代語訳84、大動脈瘤の臨床例(8)

第8例

荒◯某 40歳

4年前から右胸部に疼痛がある。大正1年5月動脈瘤であると診断された。以来、しだいに増悪し、去年9月に2日2晩にわたる激痛の後、とつぜん瘤は右R3間からはずれ、数日足らずで今日の大きさとなった。自覚的な主訴としては胸壁前後の動脈瘤所在部の発作的疼痛であり、立ったり座ったりしてもひどくなるという。

現症。体格よく、胸部R2からR6にわたり膨隆した瘤がある。横幅4インチ、縦3インチ、高さ1インチ、抵抗感が強く、拍動があり、雑音は聴こえない。

診断。胸部上行大動脈起始部動脈瘤。

治療。打療を朝夕2回施した。日ごとに退縮し、形状が変わってゆくのがわかった。しかし肋間から逸脱した動脈瘤は骨間に絞約され、しかも胸壁と癒着してしまっているので、圧迫症状すなわち痛みは容易になくならないようである。今後どこまで退縮するかは予測不可能である。

大正5年10月

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