便秘は人によってはなんら徴候を示さないが、多くは頭痛、沈鬱、その他の症状を訴える。また神経衰弱症の患者の呼気は不快な臭気を帯びることが多い。それは自家中毒によるもので、下剤のみに頼って排泄する習慣がつきやすい。
1、便秘の試験法
次に、硝酸蒼鉛または骨炭末をあたえると、24時間以内に黒く変色した便を排泄する。しかしながら直腸に達するまでに72時間以上を要するときは便秘であると判断する。そして便が24時間以上直腸に滞留しているときは便秘の原因は直腸にあることがわかる。
2、便秘の種類
便秘には痙攣性、無力性、および両者が合併したものがある。
(甲)無力性便秘
拡張した腸管によって腹部の突出、および打診上鼓音を呈し、L1、2、3を叩打(収縮反射)しても濁音に変わることがない。
この試験においてしばしば上行結腸または下行結腸のみの濁音を呈することがある。これは、その部分だけが正常ということである。
(乙)痙攣性便秘
これは無力性便秘に比べて稀で、腸管痙攣のため便が停滞してしまっており、快便感がなく、長くいきんでもわずかに細く扁平な便を排泄するだけである。そして腹部の触診によって限局して痙攣している腸をみつけることができる。その多くは横行結腸であり、その索状に触れれば、つねに鼓音を呈していなければならない部分にもかかわらず濁音を呈し、その部分の皮膚を掻いたり叩打しても鼓音には変わらない。これはつまり腸の拡張反射現象を呈さないということである。まれにカントン症の徴候を呈し、間違って手術をしてしまった例があるという。
3、便秘の療法
精神的に治療を加えることが必要であって、毎朝決まった時間にトイレへ行くことを週間にすること。精神的作用の腸における影響は著しいものがある。学生が試験前、または医師が大手術をおこなう前に下痢を起こすというようなことからも推して知るべしである。
無力性便秘には腸の収縮中枢、すなわちL1、2、3への打療が最も効果がある。
痙攣性便秘には下剤が功を奏しない場合が多い。食事30分前にオリーブ油を飲むと効果がある。また腸の拡張反射を喚起するためにT11の打療法をおこなうこと。
両者いずれにも属さない便秘を治療するときは、収縮と拡張の両方の中枢を交互に打療すること。