腎臓の反射
j腎臓の打診は比較的困難である。これを打診しようと思えば腸内に蓄便がないかみて、体躯を後方へのけぞらせて背筋を弛緩させ、脊椎の震動を防ぐため助手に支えさせること。
腎臓の反射には、実質の反射と、血管の反射との二種の作用がある。
1、実質反射作用
これはT6、7、8、棘突起を連打すると濁音部が拡大することが確認できる。一方、T12を連打すると収縮反射の現象を呈する。
2、血管反射の作用
これは前者よりも顕著であり、C7叩打によって収縮し、T10叩打によって拡張する。
腎臓の収縮反射は、実質収縮および血管収縮、両反射ともに腎臓血管は収縮するので排泄作用は遅滞する。しかしT10叩打によって血管拡張反射をおこさせれば健康体においても非常に排泄作用を促進することが観察される。この現象は病的腎臓においてもかわらず、数例の腎臓実質炎の患者にフロリチン糖尿試験において、数時間後でなければ排泄できないものに、T10叩打5分間によって、健康体の排泄時間と変わらない時間で排泄させることができた。臨床上、腎臓の血液供給を増加させることができ、また、反射現象の如何によっては腎臓の不調の程度を知ることができる。たとえば慢性実質炎などでは反射作用はきわめて僅かである。