2013 脊髄反射的療法、現代語訳

Afina現代語訳23、氷結法

三 氷結法

 長年の実験に照らしてみると、脊椎圧痛部の局所的鎮痛法としては、氷結法が最適である。その方法とは一定の薬液を局所の皮膚に噴霧するもので、確実に効果を出すには皮膚の表面が白色に変化したあとさらに数分間そのまま継続する。そうすると一回で脊椎および末梢の疼痛が緩解することが多い。

 氷結法に使用する薬液としてはリゴリン、エーテル、クロールエチール、ベンジン、(氷結のために特製したもの)、などがよい。しかしクロールエーテルは高価すぎるのでエーテルを使うのがよい。夏期、エーテルでよく氷結しないときは、はじめクロールエーテルの噴霧で皮膚が白色に氷結するのを待って、その後エーテルでその氷結を継続すると都合がよい。

 エーテルまたはベンジンの匂いが気になるときは、これを用いるにあたって香水を混ぜておけば、エーテルのみ揮発して香水の香気は残留する。また、これらの薬液はみな揮発性のものであるから火気の近くでは噴霧を行ってはならない。

〔強氷結法〕

頑固な疼痛に対して普通の氷結法で効果がないときは、強氷結法を試みてみること。その方法とは氷結しようとする部の皮下に、蒸留水を注射して少しだけ膨隆させておいて、その上に氷結薬の噴霧を行うと皮下に氷塊ができて、鎮痛効果はいっそう顕著である。

 氷結法はただ鎮痛作用があるだけでなく、反射的に筋肉攣縮を弛緩させる作用もある。だから腹部触診のとき腹壁が緊張して精査することができない患者の場合に、該当する脊髄神経起根部に氷結法を行うと、腹壁は瞬時に弛緩し、あたかも麻酔中を触診しているかのようである。またヘルニア還納に際してしばしばこれをおこなって良い効果を上げているのをみてきた。その他、脊椎カリエスに起因する激痛に対して数回反復沈痛した例がある。 

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