第一 疼痛の治療法
鎮痛法としては、薬物的にはアヘン剤を主として中枢から作用させる。あるいは局所療法としてはもっぱらコカイン属を応用することができる。石炭酸ももまた一種の局所麻酔剤として、一滴たらすことでよく無痛で穿刺することができる。それからこれらの薬物虜法の他、鎮痛法としては多くは末梢の疼痛のある局所にだけ治療を加えて中枢に原因があったことに気づかれないこともよくあることである。
例)中年の患者、四年間以上腕神経痛に悩み、激痛に耐えられず常にモルヒネの注射で一時をしのぎ、有名な医者をたよって方々訪ねてまわったが、いずれも末梢にのみ治療を施されて少しも効果がなかった。
これを診てみると、一定の脊椎に圧痛点がみられ、末梢の疼痛部に触れるとさらに圧痛が増悪する。なのでそこに氷結法を施してみた。すると発病以来四年にして初めて八時間鎮痛した。次回は二日。その後数回の治療で全治させることができた。