第4 仮性狭心症
肋間神経痛がまれに狭心症と間違われることがある。狭心症は頚部より上腕部に疼痛が波及するものであり、ヘッドおよびマッケンジー両氏の研究によれば、
1、心臓および大動脈の疾病はT1、2、3の胸椎神経に圧痛が出てくる。
2、狭心症にはT5〜9に痛みが出る。
エブラム氏の例:15年前東部からある紳士に紹介されてきた。狭心症と診断されたらしい。しかし寒冷な空気にあたるたびに狭心症発作をおこす。診てみると肋間神経に圧痛点があるのでこれを氷結した。数回で全治し、再発の徴も無し。
このほか不整脈、嚥下困難、消化不良、胆石疝痛、腎臓結石疝痛などの症状を呈し、これを精細に調べてみると脊椎側に圧痛点があって、そこに氷結法を施してみると治ってしまうということがしばしばある。これは簡便な治療法であり、なおかつ診断法でもある。