2015 脊髄反射的療法、現代語訳

Afina現代語訳64、疾病における血圧

2、疾病における疼痛

疼痛:あらゆる疼痛は反射的に血管神経を興奮させ、血圧を亢進させる。

中毒性、鉛毒、ニコチン、通風、尿毒症などは血管収縮神経に作用して血圧を亢進させる。

陣痛:腹圧によって血管が圧迫され、多量に血液が心臓に送還される。腎臓の疾病においては心臓の肥大、末梢血管抵抗または変性により血圧亢進し、心臓の肥大はついに代償機能が消失してしまう。

血圧亢進は動脈の弾力性を失わせ、その結果、動脈が拡張してしまい、動脈瘤または脳溢血をおこしてしまう危険性がある。

血圧低下は、成人であれば収縮期に100以下におちるようで多くは消耗性疾病になってしまう。

血管拡張神経は末梢の抵抗を減少させてしまって血圧を下げてしまう。

クロロホルムは心臓または血管神経の中枢を直接麻痺させてしまって血圧を下げる。

急性伝染病によって血管神経が麻痺してしまうときは、心臓の血圧は低下し、血液は著しく腹腔内の静脈に鬱滞してしまい血行の速力が低下する。

脊髄癆の電撃性疼痛時には血圧下降し、胃腸において発症した場合には著しく血圧が亢進する。それは腹部内臓血管の攣縮によることをあらわしている。

脳溢血:頭蓋内圧が亢進すると、血圧はそれに比例する。しかし圧力が亢進するのは出血が継続する兆しであり、延髄の血行が減退していることをあらわしている。

不眠症:は、血圧の高いことも低いこともある。したがって治療もこれに従わなければならない。

動脈硬化症:は、血圧が高いものであるけれども、動脈壁が肥厚してしかも心筋が弱いときは、かえって普通より低い場合もある。

ジェーンウィーはこの症状において血圧が高いのは小血管、とくに腹部内臓血液循環に関するもので、動脈硬化症の徴候としては頭痛、めまい、卒中性発作、および怒りやすい性格になると言っている。このような症状はアドレナリンを注射すれば血圧が上がってしまって増悪し、血管拡張をさせれば緩解する。だから亜硝酸アミールはこのために用いられる。

血圧計で計測すれば不眠症の原因が分かる。つまり、不眠症が腸の自家中毒によるときは血圧亢進を示しており、神経衰弱に原因がある場合には血圧は低下しているものである。

慢性結核:は、常に血圧は低いものであり、普通より高いか、治療のはじめに低かった血圧がしだいに高くなってゆくときは予後良好である。逆に、継続して低いときは予後不良である。

狭心症:で、血圧が180以上のときは器質的である。

腎臓炎、尿毒症の発作時には血圧昇騰し、症状が自然に、または治療によって緩解するときは、漸次下降する。なお、尿毒症における頭痛めまいなどは血圧が高くなっているからだという説がある。

腸チフス:体温や脈拍とおなじように血圧も計測する必要がある。この疾患は毒素の蓄積が始まると血圧は漸次下降する。クライルが150人の患者で研究した所によると、

 最高…138  最下…74  平均…104

 平均初週…115mm

 第二週……102mm

 第三週…… 96mm

 第四週…… 98mm

血圧の下降は強心剤をあたえるべき前兆であり、この場合、熱を測るよりも重要である。その急激な下降は出血を意味しており、禅師の下降は血管神経中枢の衰弱を意味し、腸の穿孔は急激な昇騰をきたす。

外科的にエーテルは血圧昇騰し、クロロホルムは血圧下降する。だからショックを回避したい場合はクロロホルムを用いてはならない。それから大神経切断には麻酔中といえどもコカインで麻痺させればショックを予防することができる。

喀血:結核において急激な下降は喀血の来潮を告げるものであり、麦角で予防する。もし出血の際に血圧が高いときは亜硝酸アミール、ニトログリセリンの吸入を試すこと。

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