大動脈瘤は臨床上、徴候を示すものとそうでないものがある。たとえ徴候がみられたとしても動脈瘤によるものかどうかはわからない。大動脈反射喚起法によってその徴候が消失するかどうかを待ってはじめて確定することが多い。大動脈瘤は予想に反して珍しいものではない。これによって死亡するものはエメリッヒによると全死亡率の0.6%、ミュリエルによると1.49%であるとのことである。
動脈瘤の好発部位は、その3/4は大動脈であり、95%は胸部で占められ、そのうち90%が嚢状瘤腫である。80〜90%は男性、年齢は30〜50歳の間にみられる。
原因
動脈瘤の原因としては梅毒を主とし、人によってその統計は25〜92%の差がある。両性とも30歳以下のものは梅毒によるものが多く、エブラム氏の臨床例では60例のうち20%であった。
大動脈炎は大動脈弁不全閉鎖、および動脈瘤と併発することが多く、梅毒に起因する。
その他の原因は外傷、アルコール中毒、過労および伝染性疾患などである。