2016 脊髄反射的療法、現代語訳

Afina現代語訳78、大動脈瘤の臨床例(2)

第2例 

高◯某 49歳

生まれつき健康で,、少しお酒をたしなむこと以外はほかに問題とするところもない。ただ27歳のときに脚気を患ったことがある。ワッセルマン氏反応陰性。

主訴は、数年前から両肩から上腕部にわたって発作的牽引性疼痛があって、頚まで痛くなったときには喘息発作をおこすという。そして同側の頚部にいちじるしい知覚過敏があって、自分でそこをおさえれば喘息発作が鎮静することに気がついている。なおその発作は本人が好きな謡曲を演じることでいつでも誘発できるらしい。

X線所見は胸部大動脈瘤であり、謡曲によって動脈瘤が拡張され、気管を圧迫して喘息をおこしている。頚部の知覚過敏な部分をみずから圧迫すると症状がなくなるというのは、迷走神経を圧迫することによって動脈瘤が縮小し、鎮静しているのである。しかし真性の咳嗽で喘息であればかえって増悪させるものであるからである。

この患者の治療効果は数回の治療で中止してしまったので不明である。

大正5年6月

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