2016 脊髄反射的療法、現代語訳

Afina現代語訳82、大動脈瘤の臨床例(6)

第6例

柴◯某 45歳

生まれつき強健な活動家であったが、一昨年前頃から窒息感や呼吸困難を感じ、ちょっとの旅行にも疲労してしまい数日の休養を必要とするようになった。以来、日を追うごとに増悪し、頭重、眩暈、胃部の違和感をおぼえるようになった。そして胸部および肩甲間部に疼痛や牽引されるような感じがある。左半身の皮膚知覚は鈍麻し、左上肢は挙上してしばらくすると麻痺し、さらに激烈な腰痛を訴え、極度な神経衰弱をおこしており、新聞も読み続けられないし、囲碁も絶対にできないというような状態になってしまった。

現症。心臓肥大。心音不整。左R3間に拍動する濁音部があって、患者自身も雑音を感じているという。

X線所見。濁音部に一致する胸部嚢状動脈瘤。

治療。C7打療10分間で視診上、拍動部の消失および患者自身が感じていた雑音は訴えなくなった。帰宅後、心身爽快でまるで生まれ変わったかのようだと言う。その数日後から50数日入院させて治療したら、諸症状は消失し、わずかにときどき肩甲間部の違和感があるくらいで、元気回復して退院した。

大正5年8月

HOT

-2016, 脊髄反射的療法、現代語訳