治療の結果から原因を推測すると、血管神経の麻痺からくる疾患であり、C7の打療によって血管収縮をうながすと、症状が軽快、または全治する。薬物、または外科的な治療においても、甲状腺の縮小を目的としているので、血液供給の増減によって甲状腺の刺激を左右しうる。
打療によって迅速に消失する症候は、心動の急速症、顔面紅潮、発汗および震戦があげられる。実験によれば腫大した腺は数回の治療後に縮小した。しかし眼球の突出は少数の例で、2/6は持続したが治療ごとに縮小していった。
〔エブラム氏の例〕脈拍106のいたる患者。震戦もある。身体各部の筋肉が少々の運動に疲労を感じ、甲状腺も腫大していた。治療3回の後、脈拍は130。8回で88にまで減少、しかしそれから5回の後、ほかの症状はほとんど消失し、甲状腺も正常な大きさに縮小した。眼球突出のみ、退縮はしたけれども全治はしなかった。
ターンブル氏およびその他による報告の例はすこぶる多いが、簡単な治療法で、しかも短時間で治癒するので賞賛しないものはいない。諸報告の中で、眼球突出がまったく退縮しないものは、眼窩脂肪沈着によりミュラー筋の収縮がみられないが、依然としてその症候を持続するものである。
〔ターンブル氏の例〕15年間持続したバセドー氏病患者、甲状腺の血管結紮の手術を受けたが効果はなく、それぞれの症状はしだいに増悪している。2週間の打療で甲状腺は縮小、心動急速症、震戦なども消失した。しかし月経の際に2日間だけ少し腺の腫大に傾いたが、それも打療によって治癒した。