手足が冷えると訴える患者は、凍傷、酒さ鼻、神経衰弱症、ヒステリー、およびその他の神経性疾患で、血管運動神経障害の症候を主として、全身拍動性感覚、ことに頭部および顔面は紅潮し、神経衰弱症の慢性的な頭重、緊約感のあるものなど、血管運動神経性徴候に対しては、C7打量は著効がある。
甲状腺腫兼血管痙攣症
松◯ 某女 50歳
15年前から甲状腺腫脹。大正元年、両側の乳房摘出。それ以来、血管神経に変調がみられるようになり、顔面が紅潮することが日に数回に及ぶ。四肢末端によくみられる血管痙攣症は両手指先端に際立っている。すなわち左手は中指および拇指の外側第2関節より先端、右手は第4指にみられる。毎朝血管痙攣症状がみられ、蒼白、冷厥であたかも死んだような状態である。暖かい湯に浸すと十数分間で回復し、終日異常ないようになるが、ここ数年は毎朝これを繰り返している。C7の打療を施し、数日で手指先端の血管痙攣症は現れなくなり、顔面紅潮の度合いも減った。とはいえ、再発するかどうかは今後の経過を待つしかない。