身体均整法学園の講義科目のうち“内臓操縦法”という講義があり、現在わたしが担当しています。
身体均整法じたい、手技療法に分類されており、いわゆる“整体”をイメージして頂いてけっこうなんですが、それが、運動器疾患のみならず、内臓に効果があるというのは、あまりイメージしにくいかと思います。
しかし現実には、とても効果があり、これは生理学的にも認められることです。
たとえば神経的なことでいうと、“体性-自律神経反射”というものがあります。
身体の外側を刺激すると、自律神経に反射がおこるというもので、とくに脊髄分節で狙いを定めて、各臓器を狙い撃ちすることができます。
身近なところでは、喉を詰まらせたときに胸や背中を叩きますよね。
あれはこの反射作用を利用しています。
これに関しては、均整学園では“観歪法”という講義で、さらに詳しく専門的に学ぶわけですが、内臓操縦法においても欠かすことの出来ない反射作用です。
現在ぼくがこのホームページで現代語訳を続けている、児玉林平『脊髄反射的療法』は、その古典にあたります。
この、神経反射がいちばんイメージしやすいかなと思うんですが、内臓操縦法ではさらに、“内臓マニピュレーション”と表現されることもある、もっと直接的な、物理的で即物的な操作の仕方を学びますし、東洋医学的に、経絡でのアプローチも、重心移動の観点から重要視しています。
それから、内臓自体に作用を及ぼすといえば、ホルモンですが、このホルモンにしたところで、神経からのアプローチが可能です。
ですから、お薬を必要としない、あるいは、お薬で好転しない内科疾患には、こういった選択肢が考えられるということです。
内臓操縦法は、運動器疾患にとらわれないで、整体手技の可能性を広げてゆける技術であり、そして、浸襲性の少ないアプローチで、かつ効果的に狙いを定めて効かせてゆける、とても魅力的で重要な分野ということがいえると思います。
そもそも、運動器疾患の裏に、内科的な問題が隠れていることがほとんどですし、すくなくとも、この両面から観察できなければ、なかなか結果をだすことは難しいだろうと思っています。