狭心症第1例 腹某 女 56歳 かつてこれといった病にかかったことはなかったが、中年にさしかかって喘息を患った。しかしそちらは第2子を出産したところにわかにその発作はおきなくなった。だが数年前より狭心症にかかり、この夏も激烈に発作が襲来して、ついに注射療法を反復して受けなければならないほどに至った。したがって注射薬の副作用のため全身衰弱してしまい、嘔吐を繰り返す。そのため当院を訪ねてきた。 この患者は体格がよく、心音は微弱、胸壁の筋肉は板状に抵抗がある。まだ診察も終わっていないのに患者の顔は血色を失い、苦 ...