エブラム氏療法
エブラムは脊髄の大動脈収縮反射中枢を刺激するために、C7の棘突起またはその両側の打療で対応した。動脈瘤のいちじるしい収縮によっておきた症状を速やかに消散する方法を発見し、1911年、40例をイギリスの医学雑誌に発表して大きな注目を浴びた。それ以来、各国から報告された症例は非常に多く、いまや胸部大動脈瘤に対して有効な唯一の治療法とされている。しかし、なかには効果がないという非難の声もあったけれども、これらは痕になって術者の未熟、または不適当な器械を用いていたことがわかっている。
打療の効果については始めの数回の治療において、圧迫症状がいちじるしく軽快し、以後、しだいになくなるのが通例で、およそ3週めで何の自覚症状も感じなくなることが多い。しかし圧迫症状の再発を防ぐには長期間の治療を受ければそのぶん、ますます良好となる。
大動脈瘤の収縮反射療法ほか、ワッセルマン反応の有無を確認せず駆微療法を試してみたり、大動脈反射機能を弱める薬品は使用してはならない。
大動脈瘤の種類において、防水状の大動脈瘤は嚢状のものに比べて自覚症状の治癒成績ははるかに遅い。
末梢の動脈瘤に対してこの療法を試してみたことがあるけれども、胸部大動脈瘤のようには反射収縮をおこさなかった。したがってこれは効果のないものとする。