血管運動障碍の治療は難しく、臨床上、血管収縮神経または拡張神経の脊髄における中枢をそれぞれ該当する棘突起から刺激するわけだけれども、収縮神経ではいくらか効果がみられはするものの、拡張神経においては影響しないと言っても過言ではないかのようである。
大動脈収縮反射をおこすには、前述した通りC7、拡張反射にはT10を叩打することで最もよくその目的を達することができ、そして全身の血管にも応用して効果あるものと考える。
試しに健康成人のC7を叩打すること1分間におよぶと顔面および四肢が少々蒼白に変化することを目撃することができるだろう。これに反してT10を叩打するとその蒼白は転じて紅潮してくることだろう。しかしこれは比較的そうだということであって、施術者は注意して観察しなければならない。
以上の実験により、血管麻痺の徴候にはC7、血管攣縮にはT10を打療することによってもし反射現象がみられたときには、血管運動障碍を治療すること。とはいえ、数回の治療を経ても変化が感じられなければ効果を出すことが難しい場合もある。