外傷性疼痛
吉◯ 某 26歳
自転車にて左腕関節を挫傷し、腫脹いちじるしく手指の屈伸ができない。触診しようとしても激痛があって骨の状況を探ることも出来ない。よってT3、4を圧迫した。するとまるで麻酔剤を使ったかのように疼痛は無くなり、手指は自由に屈伸できるようになった。これで精密に診察することができ、湿布包帯を施している間も無痛に経過した。その間15分。部屋をでるとき少しだけ痛みが戻ってきた。
外科的治療に際し、診察中に無痛にさせたり知覚を鈍麻させたりすることができるわけだが、その程度は人によってまちまちである。
手背フレグモーネ(蜂窩織炎)
岩◯ 某 13歳
化膿竈を切開したら手術後疼痛甚だしく、堪え難いとの訴え。よってT3、4圧迫、ただちに鎮静、帰宅した。
気管支痙攣
寺◯ 某 74歳
30年間、肺結核を患い、両肺すべて冒されたようになっている。したがって常に呼吸困難があり、発作的に増悪する。しかしT3、4間を圧迫するときは呼吸が楽になり、生き返ったようだと言う。まさしくこれは結核は迷走神経機能を亢進させて気管支筋の痙攣をおこしやすいからである。しかし同人の妻も同病に悩み病症はまさるとも劣らずといったところであったが、圧迫法はなんら呼吸困難に変化をきたさなかった。だから同一症候に同一療法を施して、必ずしも同じような成績を得るものではない。
附言:気管支カタルでたんに咳嗽だけでて、なんら全身の栄養に変化はなく、胸椎中間の打療法により、数回の治療にて全快することがしばしばある。とくに慢性咳嗽に特効あり。患者の自覚としては胸郭が無限に拡張するようだと訴える。