狭心症第1例
腹某 女 56歳
かつてこれといった病にかかったことはなかったが、中年にさしかかって喘息を患った。しかしそちらは第2子を出産したところにわかにその発作はおきなくなった。だが数年前より狭心症にかかり、この夏も激烈に発作が襲来して、ついに注射療法を反復して受けなければならないほどに至った。したがって注射薬の副作用のため全身衰弱してしまい、嘔吐を繰り返す。そのため当院を訪ねてきた。
この患者は体格がよく、心音は微弱、胸壁の筋肉は板状に抵抗がある。まだ診察も終わっていないのに患者の顔は血色を失い、苦悶、冷や汗、そして無言になり、まさに定型的な狭心症発作を示していた。だからただちに圧迫器でT3、4間を圧迫した。すると瞬時に発作は止まり、板状になっていた胸部も性状に復した。それ以来、圧迫法に打療法をかねて、薬品は用いないようにした。すると食欲がでてきて栄養状態も日を追って快復、数日後には通院治療に切り替えられるほどになった。
狭心症第2例
大◯某 26歳
体格強健、数年前に脚気を患ったが・治療法で治った。しかしそれ以来、心臓のあたりに違和感を感じ、発作的な疼痛があり、患者の精神につよい打撃を与え、発作のたびに死期が近づいたように感じるのだと訴える。
現在この患者に脚気の徴候はない。しかし心臓は少なからず肥大していて、発作時はいちじるしい心悸亢進を呈す。
発作時にはT3、4間圧迫法ですみやかに鎮静し、間歇時には毎日同じ場所に打療法をおこない、数日のうちに苦悶から解放された。