2016 脊髄反射的療法、現代語訳

Afina現代語訳83、大動脈瘤の臨床例(7)

第7例

伊◯某女 49歳

生まれつき体質は弱かったが、これといった大病はしたことがない。本年6月、狭心症の発作をおこし、数週でどうにか穏やかさを取り戻していたが、8月に入って再発し、それ以来しだいに増悪し、ついに一日数回の発作をおこすまでに進行している。その症状と言ったら全身がふるえ、心窩苦悶、心悸亢進、四肢厥冷、喉頭部に息苦しさを感じている。とくに嚥下のときに呼吸困難を増し、食事を控えざるをえないところまできていた。このような症状でヒステリーとして治療を施されていたが、長いことたっても軽快する兆しが見えなかったので、川井氏X線部の診察を乞うことにしたという。

X線所見。胸部大動脈瘤および気管支腺腫脹。

現在。一般に衰弱した心悸亢進の心音は分裂して不整であって、患側の眼球が突出し、手指の震えや、瞳孔が不整で、患側の視力は著しく低下する。

治療。第一回の打療で発作は来なかった。翌日来院時には諸症軽快して、全身の自覚症状が一変し、光線に体する羞明も消失した。視力は日々に回復し、4日で手指の震えも止まり、一週間で嚥下による呼吸困難や嘔吐も消失した。

大正5年9月

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