Afina現代語訳92、バセドー氏病
治療の結果から原因を推測すると、血管神経の麻痺からくる疾患であり、C7の打療によって血管収縮をうながすと、症状が軽快、または全治する。薬物、または外科的な治療においても、甲状腺の縮小を目的としているので、血液供給の増減によって甲状腺の刺激を左右しうる。 打療によって迅速に消失する症候は、心動の急速症、顔面紅潮、発汗および震戦があげられる。実験によれば腫大した腺は数回の治療後に縮小した。しかし眼球の突出は少数の例で、2/6は持続したが治療ごとに縮小していった。 〔エブラム氏の例〕脈拍106のいたる患者。震戦 ...
Afina現代語訳91、偏頭痛
原因が分からないものがあり、血管神経のニューローシスとして片側の顔面蒼白となるものがあり、あるいは紅潮するものもある。前者は血管の攣縮であり、後者は麻痺に起因する。エブラム氏は8名の患者にC7の叩打療法を施した。結果は4名が全治、2名は軽快、あとの2名は変化なかった。 (附)慢性頭痛には血管収縮または反対に拡張中枢に打療を加えて全治することが多い。
Afina現代語訳90、血管運動障碍の治療法
血管運動障碍の治療は難しく、臨床上、血管収縮神経または拡張神経の脊髄における中枢をそれぞれ該当する棘突起から刺激するわけだけれども、収縮神経ではいくらか効果がみられはするものの、拡張神経においては影響しないと言っても過言ではないかのようである。 大動脈収縮反射をおこすには、前述した通りC7、拡張反射にはT10を叩打することで最もよくその目的を達することができ、そして全身の血管にも応用して効果あるものと考える。 試しに健康成人のC7を叩打すること1分間におよぶと顔面および四肢が少々蒼白に変化することを目撃す ...
Afina現代語訳90、血管運動神経疾患の分類
古くローマの金言に「治療の結果で疾病の性質を知る」とあるが、じつに今日においても、わざわざ独立した疾病として記載されているが、たんに一つの症候に過ぎないというようなものは少なからずあり、血管運動神経の疾患においても、その治療の結果により次のように分類する。 甲 血管攣縮性 症候、刺激によって血管の反射作用をおこさない。皮膚は知覚異常を呈し、局部は血液供給異常のため新陳代謝および機能の障碍をきたす。 乙 血管麻痺性 症候、皮膚は斑紋性外観を呈し、自覚的熱感、知覚異常(知覚および疼痛の過敏性)。とくに焼灼 ...
Afina現代語訳89、血管運動神経の病理
1)血管運動ニューローシスは血管の攣縮と麻痺である。 (イ)血管攣縮 皮膚蒼白、冷寒、および栄養障害をきたし、もし表在血管が障害されたときは知覚麻痺および鵞膚状を発症する。 大血管の攣縮には間歇性跛行をおこし、患者は歩行中にとつぜん脚部が脱力してしまい歩行が困難になってしまう。 一時的失語症、知覚および運動麻痺は脳血管の攣縮に原因がある。 静脈も同じように攣縮状態をおこすことがあり、そのために毛細血管内の血液は流逸することができず、患部は藍色および浮腫状にかわり、ついで栄養を害して壊疽に至る。 (ロ)血管 ...
Afina現代語訳88、血管運動装置
第四 血管運動装置 血管壁は動脈、静脈および毛細血管にいたるまで血管収縮神経および血管拡張神経の支配を受けていて、おもに小動脈に作用する。ためしに収縮神経を刺激してみると小動脈の収縮がおこり血行の抵抗が増して血圧が上昇する。反対に拡張神経を刺激すると逆の結果がおこる。 腹部内臓は血管神経の分布に富み、たくさんの血液供給を受けており、全身の血圧に大きく影響している。 健康時においては血管神経は自律的に各部を調節して、必要に応じて適量の沓駅供給を授け、一部の活動が盛んになっているときは、そこの血管は拡張して多 ...
Afina現代語訳87、大動脈瘤の臨床例(11)
第11例 小◯某女 52歳 一ヶ月前から液体を飲み込む際に食道に一種の雑音が聴こえるようになった。そして固形物は飲み込むときに胸骨柄の後方に痛みがある。それ以来、粥しか食べられないらしい。 X線所見としては、下行大動脈瘤。 治療。数日にわたる打療によって嚥下の際の雑音は消えた。10日で疼痛も緩解し、全身の栄養も回復し今なお治療中。 大正6年2月 (以上列記したもののほか、4例において汽車、自動車などで旅行し、いちじるしい呼吸困難を感じるようになったものがみられる。しかしその徴候増悪は胸椎下端の圧迫または ...
Afina現代語訳86、大動脈瘤の臨床例(10)
第10例 岡某 48歳 8、9年前から心臓部に痛みを感じていた。まったく気にしていなかったが最近、肩甲部から左腕に激痛が走る。そして今年の8月頃、炭鉱内でガスを吸い込んだためたちまち声は嗄れ窒息感があり、日にちが過ぎても回復しない。そこで福岡大学で診断してもらったところ動脈瘤が発見されたらしい。 現症。体が大きく、心臓肥大。左側頚部の表在静脈が怒張しており、オリバー氏徴候陽性。嗄声がある。 治療。C7打療第1回め。その夜は安眠し翌朝は声が出しやすいことに気がつき翌日入院した。打療を毎日朝夕2回。数日後、 ...
Afina現代語訳85、大動脈瘤の臨床例(9)
第9例 鈴◯某 36歳 生まれつき壮健。日露戦出征に際して明治39年、動脈瘤の疑いで除隊となった。しかしこれといった苦痛もなかった。大正元年11月ころから呼吸困難を感じ、翌年9月になって嚥下困難も発症し、米飯も白湯といっしょに飲みこまないと喉を通らないし、咳も激しい。そこで上京しX線検査で胸部動脈瘤であることを確認しワッセルマン氏反応もまた陽性だったので、駆梅毒療法受け、しばらくして帰郷、静養した。 現症。体格は大きく、胸部右側胸骨に接して掌くらいの大きさの濁音部があり、拍動して胸骨を押し上げ、オリバー ...
Afina現代語訳84、大動脈瘤の臨床例(8)
第8例 荒◯某 40歳 4年前から右胸部に疼痛がある。大正1年5月動脈瘤であると診断された。以来、しだいに増悪し、去年9月に2日2晩にわたる激痛の後、とつぜん瘤は右R3間からはずれ、数日足らずで今日の大きさとなった。自覚的な主訴としては胸壁前後の動脈瘤所在部の発作的疼痛であり、立ったり座ったりしてもひどくなるという。 現症。体格よく、胸部R2からR6にわたり膨隆した瘤がある。横幅4インチ、縦3インチ、高さ1インチ、抵抗感が強く、拍動があり、雑音は聴こえない。 診断。胸部上行大動脈起始部動脈瘤。 治療。打療 ...